実験室及び宇宙プラズマにおける非線形現象の理論及びシミュレーションによる研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11695028
• 研究機関: 富山大学
• 研究代表者: 坂井 純一 富山大学, 工学部, 教授 (50019220)
• 研究分担者: 升方 勝巳 富山大学, 工学部, 教授 (80157198) ; 川田 勉 富山大学, 工学部, 教授 (40019203)
• キーワード: 磁気再結合 / レーザプラズマ / 太陽コロナ加熱

研究概要

今年度はモスクワ物理工科大学から1名(Bobrova)が富山大学を1ヵ月間訪問し、又、富山大学から3名(坂井、川田、升方)がモスクワ物理工科大学を1週間訪問して以下の共同研究を行った。
1)宇宙プラズマでの磁気再結合:
宇宙プラズマの多くは無衝突プラズマであり、そのような状況で磁気再結合を引き起こす機構は現在でも解明されていない。我々は、Force-freeの磁場を持つプラズマ考え、2次元の粒子コードシミュレーション及び理論解析により磁気再結合の機構を調べた。その結果磁場のエネルギーの50%がプラズマの熱エネルギーに変換されることも明らかになり、太陽フレアヘの応用も視野にいれている。
2)レーザプラズマ相互作用:
レーザと固体の相互作用でつくられる相対論的電子ビームの非線形力学過程を2次元及び3次元粒子コードで調べた。最初に空間的に一様にある電子ビームは、対向不安定により多くのフィラメント状のビームに分かれ、その後フィラメント状のビームが合体しより大きなビームに成長する。この過程で電子ビームのつくる磁場が散逸して、ビームが減衰することが明らかになった。我々はフィラメント状のビームが合体する過程に2つの合体過程、すなわちほぼ同じ大きさのフィラメントの合体と大きさの異なるフィラメントの合体があり、これらの合体過程で陽子が高エネルギーに加速されることを明らかにした。
3)太陽コロナ加熱機構:
最近NASAのTRACE科学衛星でコロナループの根元にコロナ加熱の熱源が集中して存在する事が明らかになった。我々はこの観測事実を説明する新しいコロナ加熱機構のモデルを提案した。

研究成果

• [文献書誌] J.I.Skai et al.: "Magnetic Field Energy Dissipation driven by Relativistic Flows in force-free Collision-less Pair Plasmas"Journal of the Physical Socity of Japan. 70.3. 624-627 (2001)
• [文献書誌] J.I.Sakai et al.: "Magnetic Field Energy Dissipation driven by Relativistic Flows in force-free Collision-less Pair Plasmas"Physical Review E. 63. 046408-1-046408-9 (2001)
• [文献書誌] J.I.Sakai et al.: "Nonlinear Torsional and Compressional Waves in a Magnetic Flux Tube with Electric Current neer the Quet Solar Photospheric Network"The Astrophysical Journal. 550.2. 1075-1092 (2001)
• [文献書誌] N.A.Bobrova et al.: "force-free Equilibria and Reconnection of the Magnetic Field Lines in Collision-less plasma configurations"Physics of Plasmas. 8.3. 759-768 (2001)
• [文献書誌] T.Haruki, J.I.Sakai: "Rapid Dissipation of Magnetic Field Energy driven by Plaasma Flows in Force-free Collision-less Pair Plasmas"Physics of Plasmas. 8.5. 1538-1544 (2001)
• [文献書誌] J.I.Sakai et al.: "Heating of Coronal Loop Footpoint by Magnetic Reconnection resulting from Surface Alfven Waves and colliding plasmas Flows"The Astrophysicel Journal. 556. 905-911 (2001)