研究課題
基盤研究(B)
韓国浦項加速器研究所との間の共同研究には主に4つの課題がある。最初の課題は浦項加速器研究所にあるPLS放射光施設の線形加速器を使ってイオンによる速いビーム不安定性と呼ばれる新しいタイプのビーム不安定性が実際に存在するかどうかを実験的に検証することである。2つめの課題はリニアーコライダーの為にX-バンド大電力クライストロンを共同で開発し、その大電力試験をKEKに於て行うことである。3つめの課題はリニアーコライダー線形加速器の高周波加速管における高周波破壊の研究である。シュミレーションプログラムを作り、解析した結果、実験結果を説明できるモデルを作ることができることがわかった。また、逆にシュミレーションからどういった加速管において高周波破壊が起こりにくいかがある程度予想できるようになった。最後の課題は高エネルギー加速器研究機構にあるATF施設を使ってリニアーコライダーの為の前段加速器の研究を共同で行うことである。まず、最初の課題に関しては実験に必要な速い個別バンチビーム位置検出器(BPM)の開発、製造を韓国浦項加速器と共同で行い、また、その結果を基にビームの運動を安定化させるためのフィードバック装置の開発を行った。これらの装置はKEKのATF施設に入れられ、動作確認を行って良好な結果を得た。この結果はVladimir Foguel氏の博士論文としてまとめられ、Foguel氏はこの研究で博士号を得た。リニアーコライダーの為の大電力クライストロンの共同開発と大電力試験では、良好の結果を得、世界に先駆けて永久磁石を収束系に使用したクライストロンの開発に成功した。これらの結果は国際会議で招待講演として発表された。ATF施設を使っての前段加速器研究は第1番目の課題と供に、Foguel氏の博士論文にまとめられた。
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