研究課題/領域番号 |
11695036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
熊谷 直昭 岩手大学, 工学部, 教授 (30003875)
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研究分担者 |
西舘 数芽 岩手大学, 工学部, 助手 (90250638)
駒場 慎一 岩手大学, 工学部, 助手 (20302052)
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キーワード | インターカレーション電極 / 金属酸化物電極 / リチウムインターカレーション / リチウム二次電池 / リチウム拡散 / 分子動力学 / 二酸化マンガン |
研究概要 |
本共同研究は新しいインターカレーション電極を開発することを目的としており、本年度は二酸化マンガン系、バナジウム酸化物系およびモリブデン酸化物等をソフトケミストリー手法を用いる湿式合成、および固相加熱法およびスパッタリング法による乾式合成を行った。さらに合成した金属酸化物の結晶構造解析、並びにそれらの結晶格子中でのリチウム拡散挙動に関する電気化学的実験および計算機によるシュミレーション実験を実施した。これらの成果は次の通りである。KMnO_4を300〜800℃で加熱分解後、水で洗浄することにより層状二酸化マンガン(KxMnO_2)を始めて合成した。これは130〜140mAh(g-酸化物)^<-1>の電気容量で20回以上充放電が可能であることを確認した。LiMn_2O_4スピネル薄膜を、r.f.スパッタリング法で製膜し、これを400〜700℃でO_2中で加熱処理して得た。この薄膜酸化物は2〜4.3Vvs.Li/Li^+の広い電位範囲で優れた充放電繰り返しが可能であるので、全固体リチウムニ次電池用正極として現在検討している。 V_2O_5薄膜をr.f.およびマグネトロンスパッタリング法により基板上に製膜し、その物理的および電気化学的特性を調べた。正極および負極にV_2O_5およびLixV_2O_5膜を用いて全固体リチウムニ次電池を始めて作製した。 モリブデン酸塩(Na_2MoO_4)を塩酸で酸性化した水溶液をオートクレーブ中で120〜180℃で水熱処理することにより、六方晶および斜方晶構造の三酸化モリブデンを合成した。得られた斜方晶MnO_3は少しの結晶水(0.03H_2O/Mo)を含有しており、300mAh(g-酸化物)^<-1>の大きい放電容量を示し、充放電繰り返しが可能であった。 V_2O_5の結晶構造特性とリチウム拡散挙動を分子動力学法を用いる計算機シュミレーションにより研究した。その結晶構造はすべてシュミレーション時間ステップに対して安定に保持された。さらにLi_xV_2O_5についてもその構造安定性および拡散挙動について検討している。金属酸化物中でのリチウム拡散挙動について拡散係数がリチウム濃度に依存する場合について新しい数学的モデルを提案した。このモデルはNb_2O_5格子中でのリチウム拡散に適用され、その妥当性を確認した。
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