研究概要 |
環境問題の行政対策を考えるとき,環境のゲームを考える必要がある.本研究では,このようなゲームを一般的な多人数ゲームとしてモデル化し,そこに内在する諸性質を解析した.題材として,四人将棋,チャツランガなどを用いて,ゲームに参加するエージェントの意志決定に関する特徴を解析した.また,意志決定過程における協調のダイナミクスに焦点を当て,計算機上にシミュレーションを行った.今後,多人数ゲームでの各エージェントの最適な戦略を考え,ゲームの全体の利益を最大化する方策を検討する. 環境問題の重要な一側面に焦点を当てて,数理モデリングによる分析を実施した.一つは,母乳を通して乳児が受けるダメージ(内分泌撹乱物質としてのダイオキシンの暴露)とその影響に関する調査研究に基づく,数理モデリングである.母乳を通して乳児は免疫獲得のゲインを享受し,同時に母乳を通して母親とのスキンシップがあり情緒の安定という利益もある.これらの3つの主たる要因に着目し,コストベネフィットの関係を数式として表現した.この結果,ダメージがある程度(これは今後詳細を調査する)以上の場合,コストベネフィットの関係式(時間推移に伴う母乳利益)にピークが存在し,母乳と人工乳を切替えることが賢明な策であることを明らかにした. 内分泌撹乱物質の問題の一つは,女性に長期(世代を超えての場合もある)にわたり影響を与えることが指摘されている.そこで,長期にわたる更年期前の女性の種々のデータを収集し,今後のモデリングの資料とするために,女性十年手帳を用いて,従来より長期にわたる更年期前の女性の種々のデータ収集の準備をした.その後,アンケート調査を行い,これらのデータに基づく数理モデリングを予定している.
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