研究概要 |
自然環境問題のモデリングにおいては,交雑による適応度の低下が見られない場合でも,配偶者選択による性淘汰だけでも種分化が起こりうることを個体ベースモデルにより初めて明らかにした.これにより,異所性種分化の強化が生態学的地位の違いがなくても可能なことを示した(吉村,2001).群集における空間の異質性を測る測度として,出現頻度もとにした非常に簡単な測度を開発した.この測度は草原における種の出現頻度や植物などの病気の発現頻度に応用できる(吉村,2000).また,西那須野の農林省草地試験場における草地群集の空間的異質性のインデックスにより解析した.べき乗則により草原の特性やその中の種の特性が評価できることを示した(吉村). 多人数ゲームの解析では,線形計画法をベースにして,周囲エージェントのモデリングを行うことで,より最適なふるまいをするエージェントの設計に成功した(飯田, 2000).エージェントのモデリングでは,時系列に従って,周囲の状況である環境が変化することに留意し,さらに精密なモデリングを設計することが可能であることを示した(飯田,2001). シングルエージェントの問題で最適解を見つける問題ではrelevant cutというマクロなアイデアを導入することで,非常に複雑な問題に対しても,最適な解を見つけることが可能であることを示した(Schaeffer,2001). 複雑系での問題解決では,先読みをする探索が重要である.最適解を保証しないかも知れないが,実時間で,高速に求めることが要求される場合は多々ある.特に,多人数ゲームではそうである.新しいモデリングの枠組みを提案した(Marsland,2001). エージェントの協調について,いくつかのゲームを題材として詳細に解析した.協調の必要性,損失および利得,最適戦略のアルゴリズム,効率化,など議論した(飯田,2000).
|