研究概要 |
降雨による裸地の土壌侵食量を推定するため,キネマティック・ウェーブ理論に基づく物理モデルである WESP(流域侵食シミュレーション)モデルをブラジル半乾燥地に設けた侵食土砂観測試験地(スメ試験地)のデータに適用した.その際,主要なモデルパラメータ4つを,計算土砂量と実測土砂量との差が最小となるようにGA法(遺伝子アルゴリズム)によって最適化して決定した. 得られた主な結果は以下の通りである. 1)スメ試験地における土壌に関する固有な係数である河道侵食係数,せん断土壌分離係数,雨滴衝突土壌分離係数が降雨特性によらないほぼ一定の値として決定できた. 2)河道侵食係数はWESPモデルに対して敏感なパラメータであるが,せん断土壌分離係数と雨滴衝突土壌分離係数は鈍感なパラメータである. 3)GA法の一種であるSCE-UA法では物理モデルパラメータは初期値が異なって最終的には同一の最適値に収束する.また,最適化精度の向上と時間短縮のための修正SCE-UA法を提案した. 4)土壌水分吸引定数を前期無降雨時間との関係で示すことができた.
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