研究課題
基盤研究(B)
ブラジル東北部の乾燥地を研究対象として、実測された降雨による土壌侵食特性のモデル解析を試みたが、研究は降雨流出・土壌侵食物理モデルに関する研究、物理モデルのパラメータ決定法に関する研究および物理モデルの実流域への適用に関する研究に分けられる。得られた主な知見は以下の通りである。1.降雨流出・土壌侵食物理モデルに関する研究土壌の降雨浸透能以上の降雨が地表流および河道流として流下する過程をキネマティック・ウェーブ理論を用いて解析し、表層土の侵食量を計算するモデルを検討し、特に、土壌水分吸引定数Ns、せん断土壌分離係数K_R、雨滴衝突土壌分離係数K_I、および河道侵食係数aが決定すべき重要な流域特性係数であることを示した。2.物理モデルパラメータ決定法に関する研究決定すべき係数K_R、K_I、aおよびNsの最適値を侵食土砂量の実測データを用いて決定するのに遺伝子進化アルゴリズム(GA法)の一つであるSCE-UA法を改良し、それが有用であることを示した。3.物理モデルの実流域への適用化に関する研究実流域として、ブラジルのスメ試験地の自然流域と松山市の石手川流域を設定し、上記の物理モデルの適用を試み、K_R、K_I、aおよびNs最適値を求め、別のデータセットの土壌侵食量を良好に推定できるなどの結果を得た。
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