近年、資源枯渇とエネルギー有効利用の目的で熱電変換材料の開発が盛んに行われている。例えば、FeSi_2を通常の溶融法で作成すると固体と液体間の包晶反応で形成されるため、高温で長時間の加熱が必要とされる。また、組成の制御が困難で異種相や欠陥が導入されやすいなどの問題がある。反応拡散法によれば組成の制御が容易であること、欠陥の無い試料の作成が可能となる、不純物のドープが行えるなどの利点がある。本研究の目的はFeSi_2やCoSb_3などの高効率の熱電変換材料を反応拡散法によって作成し、その熱電能特性を評価することにある。本研究ではFeSi_2やCoSb_3の成長挙動を調べた。 Fe/Si拡散対に形成されるFe3SiやFeSi2の成長速度はFeの純度に依存し、目的とするFeSi2を効率的に得るためにはIF-steel/Siを用いると良いことが明らかとなった。しかし、基本的にはFeSi2の創製には反応拡散法は向いていない。 Co/Sb反応拡散では固体Co-気体Sb間の反応によって効率よく目的とするCoSb3相が形成される。本研究により、固体Co-液体Sb間の反応によって、より高効率なCoSb3形成法の手掛かりが掴めた。
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