研究概要 |
平成12年度は,当学から2回先方に赴き,先方からは一回,来学して実験およびディスカッションを行った.当学におけるジルコニア・セラミックスの研究においては,正方晶(T)→単斜晶(M)変態に関し,原子間力顕微鏡を用いた等温時効中の間歇的観察により,一つの結晶粒から生じたM相が隣接する結晶粒に伝播していく様子を明らかにした.その際,M相は粒界で発生し,粒内に進展,粒界に達した後,隣の粒内にM相が発生する,という過程が把握された.また,X線回折により,焼結体の時効では,粉末とは異なり,T→M変態の際に,特定の結晶面の回折強度が優先的に強くなるこを示す結果が得られた.結晶構造が単斜晶であるため,理論的な解析は複雑であり,カーティン工科大学のO'Connor教授のグループと討議し,現在解明を試みている. 一方,O'Connor教授のグループでは,熱間プレスの条件を制御することにより,2種類の粒径を有するTi_3SiC_2を作製した.これら試料について,リートベルト法による集合組織解析をカーティン工科大学で行うとともに,当学の高分解能走査型電子顕微鏡による組織観察を行って選択配向度の粒径依存性を明らかにした.また,低温での微小硬度測定を行って機械的特性との関係を示した.さらに,毛細管現象を利用して,異なる種類のセラミックスを複合させ,しかも傾斜的に混合させるという新しいセラミックスの製造方法により,傾斜機能を有するセラミックスの開発を開始した.
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