研究概要 |
平成13年度は,当方から1回先方に赴き(平成13年6月),ジルコニア・セラミックスの中性子回折測定を,先方とともに行い,得られた結果について先方と討議し,通常のX線回折測定では得ることのできない試料内部の変態現象についての知見を得た.また,先方からは一回,Arie van Riessen講師およびJim Low講師が来学した(平成14年2月). 先方からの来学時,先方が新たに開発した「傾斜機能セラミックス」についての講演会を行った.内容は,チタン系およびアルミニウム系のセラミックスを真空中で加熱するという比較的単純な手法で,酸化チタンまたは酸化アルミニウムを形成させ,表面は高い強度を有し,内部は高い靭性を保つセラミックスが得られるというものである. 当方では,イットリアを含む部分安定化ジルコニアに,少量(2%)のアルミナを添加することで,機械的性質(K_<IC>)が大きく向上すること,アルミナ添加材の粒界には,アルミナ,シリカ,イットリアに富む非晶質が形成されること,機械的特性の向上は,この粒界相の影響によると考えられることなどを明らかにした.また,アルミナ添加部分安定化ジルコニアの等温時効に伴う表面起伏生成を原子間力顕微鏡で詳細に観察した結果,この起伏は等温マルテンサイト変態に伴うものであることを示した. 先方来学時,これら双方の新たな知見を討議し,「新セラミックスの開発と特性評価」についての結果を確認/確証し合って3年間にわたる国際共同研究を終えることとした.
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