本研究は、橋梁システムの耐震設計法について、合理的な手法の開発を目的とするものである。特に、超長大橋を計画する場合や、狭い都市空間での新たな社会基盤づくりのために、耐荷力、合成および変形性能に優れた構造様式を開発・提案するものである。 本年度は、昨年度に引き続き、鉄筋コンクリート充填鋼管構造に関する実験を実施し、その解析を行っている。3種類の配筋による鉄筋コンクリート充填鋼管試験体のほか、無筋コンクリート試験体、鉄筋コンクリート試験体、および鋼管のみ試験体を作成し、圧縮および曲げ試験を実施した。特に、鋼管の板厚や充填されるコンクリート強度が力学的挙動に与える影響について実験調査した。その結果、次のような知見を得た。 1.耐荷力については、鋼管のみと鉄筋コンクリートのみの耐荷力の単純累加耐荷力より、数十%高い数値が得られ、合成効果が確認された。 2.変形性能については、鋼管のみあるいは鉄筋コンクリートのみ試験体に比べて、優れた性能を発揮した。 3.板厚によって、合成効果が異なることが示された。 4.内部コンクリート強度を高くすると、変形性能が低下することが示された。 中国側では、光弾性実験によるこのような剛性構造の特質を実験的に研究する活動が行われた。 双方の実験内容と実験結果について、平成12年12月10日より、13日まで研究代表者である長谷川明、中国を訪問し、白秉三教授と打ち合わせ、相互の実験状況・経過を示し、今後の活動を検討した。
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