今年度は、本研究活動の最終年度である。これまでの研究活動成果のとりまとめを中心に研究活動を行った。本研究は、兵庫県南部地震における橋梁システムへの被害を、再発することなく、地震時においても十分な耐荷力と変形性能を有する構造システムとその設計法に関して研究したものである。構造としては、これまでのCFTにかわってRCFT(鉄筋コンクリート充填鋼管構造Reinforced Concrete Filled Tubular Structures)を提案し、その力学的挙動を実験的に調査した。八戸工業大学においては、主に構造要素に関する実験的な研究を、中国・落陽工業大学においては光弾性実験と数値解析による研究がそれぞれ実施された。その結果、下記のような知見を得た。 (1)RCFT柱はCFT柱に比べ優れた圧縮強度および靭性を有している。特に、二重配筋RCFT柱が最も優れた力学的特性を示す。 (2)配筋の相違は耐荷力、合成効果および靭性率にはさほど影響がないものと言える。 (3)鋼管内部に取り付けられたリブは、鋼管とコンクリートの一体化を図り、合成効果および靭性を向上させる働きがある。 (4)高強度コンクリートを充填することは強度の増大に寄与するが、最大耐荷力到達後に急激に耐力を失うので変形性能は乏しい。 (5)鋼管の板厚が薄いものほど、コンクリートおよびRCを充填することによって座屈補剛効果が大きく現われ、相対的に中空鋼管に対する強度増大率は向上する。 本研究活動によって、日中共同による国際協力研究が実施でき、大きな研究成果を上げられるとともに、日中両国の学術交流が促進されたことに対し、関係各位に厚く御礼申し上げます
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