研究課題
(1)モンゴルにおける有効な太陽エネルギーの利用法、(2)付加価値の高い稀土類分布調査、(3)井戸、河川、湧水等の水質を調査、(4)これらの水の浄化法を検討した結果、次のことが認められた。(1)過去2年間、都城高専で測定した太陽エネルギー日射量とモンゴルで測定された過去のデータを基に、モンゴルでの太陽電池発電所設置の有効性を検討した。モンゴルの日射量基礎調査については、現在ゴビ地区に適した日射量測定システムを現在検討中である。(2)モンゴルの土の約30種類を蛍光X線、X線回折装置により分析し元素の検出と化合物の同定を行った。その結果、約3種類の土から希土類元素であるイットリウムを検出した。応用として希土類元素を用いた無機蛍光体薄膜の合成を行った。その結果、ユウロピウムをドープした酸化イットリウム蛍光体薄膜を750℃の低温で合成することを明らかにした。(3)モンゴル西部半沙漠地域の井戸、河川、湧水等18地点で採水しその水質調査を行った。各地点のpHは7.6〜9.2で弱アルカリ性であった。どの調査地点もイオン濃度は4〜15meqと高いものの、フッ素、硝酸、硫酸の各イオン濃度は健康に影響を与えるほど高い所は認められなかった。一方、細菌の調査では、18地点のうち2地点の井戸と2地点の湧水で60〜1600個/ml、また、4河川、1湖沼で最大2000個/mlの大腸菌が検出された。(4)モンゴル辺地は電力事情が悪いので、低圧下(0.65MPa)でも逆浸透により井戸水中の不純物が除去できる装置を製作した。モンゴル井戸水の模擬水をつくり、この装置で水の浄化実験を行った。Ca^<2+>は1000ppm、Mg^<2+>は400ppm、Na^+は、350ppm、K^+は10ppm程度の濃度であれば、99%以上阻止できた。SO_4^<2->は2000ppm、Cl^-は600ppm、NO_3^-は100ppm程度の濃度であれば、95%以上は阻止できた。