研究課題/領域番号 |
11695068
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
臼井 健二 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (80087585)
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研究分担者 |
沈 利星 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (30272157)
松本 宏 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (10199888)
小林 勝一郎 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40087606)
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キーワード | 熱帯高塩地域 / 植生改編 / 耐塩性雑草 / 土壌改善 / 土壌塩類濃度 / 耐塩性機構 / サリチル酸 / アンモニア蓄積 |
研究概要 |
熱帯高塩地域としてタイ東北地方Phimaiの塩類土壌を選び、耐塩性雑草を導入して植生を変えた試験圃場を設置し、3年間にかけて植生改編が塩類土壌の微細環境に及ぼす影響と緑化の可能性を検討した。1年次の雨期に草丈、被覆度などの異なる数種の雑草を塩類集積土壌に植えて同年度の乾期の始めから周期的に土壌の変化を追跡した。雑草を導入した区においては裸地区に比べて僅かでありながら土壌中の塩類濃度が下がり、耐塩性雑草の導入による塩類土壌の改善と緑化の可能性を示唆した。ただし、このような効果は雑草による塩類の吸収によるものであるかまたは被覆による土壌水分の蒸発抑制によるものであるかはさらなる検討が必要であり、より高い改善能を備えた草種の選定などまだ残された課題は沢山ある。また、今回の結果の可能性は短期間での効果であり、長期間の効果を検討するためにタイ側の共同研究者たちと研究の継続について協議中である。一方、こうした現地圃場に加えて植物の塩害および耐塩性機構の究明、有用耐塩性雑草の探索と繁殖方法の開発などの基礎的研究にも力を注ぎ、所定の知見を得ることができた。特に、塩ストレスのような酸化ストレス条件下における活性酸素消去系の酵素カタラーゼの急激的低下にサリチル酸が深く関与することや塩ストレスによる過度なアンモニアの蓄積が塩害の大きな要因になりうるという発見は植物の耐塩性の遺伝子的あるいは化学的制御の可能性を開き、高塩地域の緑化技術の開発にも繋がる大きな成果である。こうした成果は整理し、学術論文として公表する予定である。
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