研究概要 |
精製したアザラシ油(バルク系)と10%o/wエマルションを、それぞれ酸素吸収量測定用と過酸化物価(POV)・TBA測定用の2つに分けた.醸素吸収量測定用試料は、50ml容バイアル瓶にアザラシ油を1g入れ、密栓したものをバルクオイル、エマルジョンそれぞれ5つずつ調製した。過酸化物価とTBA測定用試料は、バルクオイル16gを100ml容三角フラスコ、エマルション100mlを200ml三角フラスコに入れ、アルミホイルで蓋をしたものとした。これらを45℃,暗所で6日間貯蔵し,酸棄吸収量、過酸化物価、TBA値を測定し、酸化安定性を比較した。また貯蔵日数ごとにバルクオイル、エマルジョンの官能検査を行った.貯蔵日数に従いバルクオイルの色が透明から黄色になり、さらに2つの系(特にエマルジョン)で魚奥い匂いが強くなった。この特有の魚臭さはアザラシが魚を捕食しているためと思われた。また、貯蔵日数に従いバルクオイルの粘度が増した。これらのことから官能的にも酸化の様子が窺われた。酸素吸収量は、バルクオイルとエマルションの差はほとんど見られず、貯蔵日数とともにゆっくり減少し、初期酸化の段階であると思われた。一方、PVとTBA値を比べてみると、PVではバルクオイルの値が高かったのに対し、TBA値ではエルジョンの値が高かった。この現象は次のように考えられた。すなわち,バルクオイルでPVの値が高く、TBA値が低かったのは、HPOが蓄積しやすく、2次生成物であるアルデヒド類のTBA反応物質に分解しにくかったためだと考えられた。一方,エマルションで逆の現象が起きたのは、HPOの分解速度が速く、TBA反応物質が生成されやすかったためと考えられた。
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