研究課題
基盤研究(B)
1999年8月に韓国東海岸を訪れ、7カ所の湖の生物の調査を行った。調査では物理・化学的環境(水温、pH、溶存酸素濃度、電気伝導度、塩分濃度)の測定と、植物プランクトン、動物プランクトン、水草付着微小動物、コツブムシ、魚類(特にフナとドジョウ)の採集を行った。海岸に近接した湖沼では海水が入り込んでおり、軽い淡水が表層に、重い海水が低層に分布して成層構造を作っており、低層の溶存酸素濃度が極端に低い湖があった。コツブムシは海水域と汽水域に生息していた。日本では淡水域に生息するコツブムシが知られているが、今回の調査ではそれは採集することができなかった。魚類調査において、フナを69個体採集した。赤血球のDNA量から倍数生を同定した結果、両性生殖している通常魚(2倍体)が5個体であるのに対して雌性発生魚(3倍体および4倍体)が64個体であった。この結果から韓国では少なくとも東北地域では雌性発生魚が広く分布し、しかも両性生殖している通常魚に対し数の上で圧倒的に優勢であることがわかった。ドジョウは2地点から65個体採集できた。これらにはManguillicaudatusとM.Mizolepsis(カラドジョウ)が含まれておりカラドジョウが主体であった。現在カラドジョウの本邦での分布は知られていないが、雌性発生ドジョウのミトコンドリアハプロタイプはドジョウのものよりカラドジョウと遺伝的に近い関係にあることが判明した。
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