研究概要 |
高知大学農学部圃場において,生態種(インド型,日本型,ジャワ型)および草型を異にする水稲30品種を供試し,同一条件下で栽培してシンク容量(籾殻重)成立の品種間差異について検討した。また,中国揚州大学において,群落水耕栽培法により生育中期と後期の窒素濃度を変えてインド型F_1ハイブリッドライス汕優63号を栽培し,登熟期間における根量および根の活力と登熟歩合および精籾千粒重との関係について検討した。[結果]1.高知大学:シンク容量は121〜245g/m^2の範囲にあり,品種群の平均値はインド型品種186g/m^2で,日本型(148g/m^2),ジャワ型(146g/m^2)品種に比べて大きく,精玄米収量(278〜841g/m^2)および潜在収量(587〜1071g/m^2)と高い有意な正の相関関係(r=0.804^<***>,r=0.735^<***>)を示した。インド型品種では,長稈品種に比べて,半矮性〜中稈品種で大きかった。シンク容量を構成するm^2当たり籾数は,2.5〜4.7万粒の範囲にあり,品種群の平均値はインド型(4.0万粒)>日本型(3.7万粒)>ジャワ型(2,6万粒)品種の順に多かったが,各品種群の草型による差は明瞭には認められなかった。一方,他の構成要素である1籾殻重は3.4〜6.5mgの範囲にあり,品種群の平均値はジャワ型(5.6mg)>インド型(4.7mg)>日本型(4.1mg)品種の順に重かった。インド型品種では,長稈品種に比べて,半矮性〜中稈品種の1籾殻重が明らかに重かった。2.揚州大学:登熟歩合および精籾千粒重は,登熟期間の株当たり根重とは有意な正の相関関係(r=0.763^<**>)を示したが,株当たりの根の活力,単位根重当たりの根の活力とは有意な相関を示さなかった。しかし,籾1粒当たりの根の活力とは登熟歩合(r=0.866^<***>)および精籾千粒重(r=0.876^<***>)ともに非常に高い有意な正の相関関係を示した。
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