研究概要 |
高知大学農学部圃場において,出穂期がほぼ等しく、粒大を異にする日本型(中粒)、インド型(小粒〜中粒)およびジャワ型(大粒)に属する各5品種(合計15品種)を供試して,穂上の1次・2次枝梗別および穂上位置(上位,中位,下位)別籾の登熟特性について検討した.また,揚州大学では,群落水耕条件下で移植期から出穂期まで8段階の窒素供給濃度区(0-49ppm)を設け,窒素供給濃度が汕優63号における籾殻の大きさ,籾の充実度および千粒重に及ぼす影響を検討した.[結果]1.高知大学:穂揃後の籾の登熟経過は,1穂全籾,1次・2枝梗別籾および穂上位置別・枝梗別籾についてみた場合のいずれにおいても,全ての品種でLogistic関数式に適合した.また,主要登熟期(最終粒重の15.9〜84.1%の時期>における籾乾物蓄積速度および登熟日数と最終粒重との関係につい解析した結果,最終粒重は,1穂全籾あるいは,いずれの部位においても,主に籾乾物蓄積速度と密接な関係にあることが示唆され,粒大の大きい品種ほど籾乾物蓄積速度が速いことが明らかとなった.また,主要登熟期間の籾への乾物蓄積量は,最終粗籾1粒重と密接な関係にあることから,籾乾物蓄積速度が最終粒重に関与することが示唆された.そして,主要登熟期に相当した穂揃期〜同20日後において,籾乾物蓄積速度の速い大粒品種ほど,同期間の籾1粒当たりの全乾物重の増加量も大きい傾向が見られた.2.揚州大学:対照区(21ppm)に比べて,窒素供給濃度が低下すると粒重は増加し,窒素供給濃度が増加すると粒重は低下した.この処理間の粒重の差異は,主に籾殻の大きさによるものであり,籾の充実度によるものではなかった.
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