研究分担者 |
須原 準平 立教大学, 理学部, 助教授 (70062635)
黒田 智明 立教大学, 理学部, 教授 (40158887)
檜田 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
加藤 中英 立教大学, 理学部, 講師 (00142547)
花井 亮 立教大学, 理学部, 助教授 (30287916)
|
研究概要 |
蘚苔類苔綱のジャゴケ属のヒメジャゴケは東アジアに分布し,地球の寒冷化,乾燥化に適応してジャゴケから進化したという説がある。須原らは、まずヒメジャゴケの種内構造を明らかにするため,rbcL遺伝子の塩基配列による種内変異を調べている。すでに,日本産のヒメジャゴケには北海道の北方タイプ(Nタイプ)と本州のSタイプ(Sタイプ)があることを明らかにした。日本のヒメジャゴケの系統と起源を知るために、調査を中国雲南省に拡大した。 平成12年度に中国雲南省の昆明市付近と南(東)部のヒメジャゴケを調査した.その結果雲南省南東部にSタイプ,北部の昆明市付近に固有の雲南タイプ(Yタイプ)を発見した。これは東アジアにおけるヒメジャゴケの起源・伝播を考える上で大変興味深い結果であった。 平成13年度は、雲南省の北西部(麗江,大理),昆明(西山),北東部(昭通,大関)を調査し,昆明および大関県でヒメジャゴケを採集し,DNAを抽出できた。これらのヒメジャゴケのrbcL遺伝子はすべてYタイプであった。 今後、rbcL以外の遺伝子でさらに広いDNA領域で比較する。さらに本州産Sタイプのヒメジャゴケから基準のゲノムDNAライブラリー作成,塩基配列の決定が現在進行中である.決定された塩基配列からプライマーをデザインし,各産地のDNAをPCR増幅し,塩基配列を比較する予定である。 平成14年3月6日から17日まで、黒田は中国雲南省昆明植物研究所を訪問した。昨年度の訪中の際、雲南省北西部にてキク科Ligularia属植物を採集し、その抽出物を立教大学に持ち帰って成分研究を行っており、今回の訪問では、その研究結果について同研究所の沈博士(植物有機化学)と意見交換した。さらに、同研究所の武教授(植物分類学)ならびに胡女史(国際合作処副処長)を交え、本研究で得られた成果を踏まえて、今後の共同研究の進め方について話し合った。 堀内は、平成13年8月沈博士より入手した雲南省のカモメヅル属(Cynanchum otophyllum)(中国名:青陽参)の根の培養細胞を利用するテルペン類の物質変換に取りかかっている。
|