研究概要 |
本年度は,最終年度であるため,コンケン大学の共同研究者と協議した結果,現地における調査と研究成果報告書(英文)の最終とりまとめを円滑に行うため,および初年度から本年度までのコンケン大学からの招聰のべ人数と九州東海大学からの派遣のべ人数が同じになるようにコンケン大学からの招聰を実施せず,九州東海大学から1名を2回派遣した.調査は,タイ国東北部における水稲害虫相および天敵相に関する調査を継続すると共に,穀物貯蔵庫におけるポストハーベスト害虫の被害の状況と防除法について調査を実施し,以下のような結果を得た. 1.タイ国東北部の水田における有力天敵の1つであるキクヅキコモリグモの生態を調査し,天水田のうち雨期に冠水する水田では個体数が少ないこと,コンケン周辺の灌漑地域に個体数が多いことを明らかにし,天敵の個体数に水管理が大きく影響を及ぼしていることを明らかにした. 2.トビイロウンカに寄生する寄生菌を同定し,微生物天敵としての評価に関する実験を実施し,トビイロウンカ防除に有望な天敵であることを明らかにした. 3.ポストハーベスト害虫相に関する調査を実施し,タイ国東北部のジャスミンライスを含むコメの主要害虫相を明らかにすると共に,被害の原因として,農村部のコメの乾燥および仮の集積所における貯穀害虫の侵入の予防および防除の不徹底があることが明らかになった. 以上の結果を含む調査結果の一部については,本年度タイ国コンケン大学で実施されたタイ国農学会において発表した.
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