研究分担者 |
氏家 弘 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00138869)
梶谷 文彦 岡山大学, 医学部, 教授 (70029114)
中沢 誠 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10075567)
常 徳華 東京女子医科大学, 医学部, 助手
仁木 清美 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40218095)
CHANG Dehua Tokyo Women's Medical University, Department of Cardiovascular Sciences, Research Associate
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研究概要 |
従来,心機能指標としては,心収縮性あるいは拡張特性といった心臓固有の性能のみを反映する指標が,主として要求されてきた.しかし,実際の病的心臓の動作状態は,心臓の性能と血管系の状態との複雑な干渉の結果落ち着いた状態である.従って,心臓の性能のみの指標は必ずしも病的な動作状態の評価や動作状態の変化の予測に役立たない.このような視点から新たな心機能諸指標を提案し,国際協力によりこれを実用化することが本研究の目的である.われわれが,新しい循環動態指標として注目しているのはWave Intensity(WI)である.WIからは,心収縮性を表す指標,拡張特性を表す指標,末梢からの反射波の影響(末梢抵抗の大きさ,狭窄が存在する場合その程度と位置,血管攣縮,血管の硬さ,等に関連する)を表す指標等を定義できる。従って,病的心臓の動作状態,末梢循環(脳循環も含む)の病的状態,あるいはこれらの干渉の解析において,WIは他の指標にはみられない有用性を発揮することが期待される. ところで,あらゆる検査は,非侵襲的であることが理想である.カテーテル検査のような侵襲的検査は,患者さんの負担が大きく,繰り返し行うことはできない.現在の超音波診断装置は,血流速度情報としてのカラードプラ信号と血管壁運動の情報としてのRFエコー信号を内部に有している.これらを利用すれば,WIを非侵襲的に測定することができる.われわれは,そのための新しい装置を開発し,臨床応用を展開してきた.脳血管障害も含めた心臓血管病の診断,予防,治療効果の判定は高齢化社会を迎えますます重要となってくるので,簡便で繰り返し施行することができる非侵襲的検査法の必要性は益々高まると予想される.
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