平成11年度は以下のような調査・研究を行った。 (1)東大心理学研究室に残されている実験機器の備品台帳(=1889(明治22)年に購入された備品以降の備品が年代順に記入されている)を電子リスト化した上で、年代ごとの機器購入からどのような研究がなされたのかについての検討を行い論文として公刊した。 (2)韓国のソウル大学心理学研究室を訪れ、旧京城帝大時代の心理学実験機器(約220点)の整理と撮影を行った。また、当時の学生実験のレポートも残されていたので複写し整理した。後者の資料は日本にも類似の資料がなく、極めて重要なものであった。これらの経緯については簡単なレポートを公刊した。 (3)米国のボストン大学ならびにジョンズホプキンズ大学の資料館を訪問し、わが国心理学の父・元良勇次郎の留学時代のカリキュラムの調査を行った。元良が在米中にどのような学問を修めたのかについてはかなり解明された。 (4)"Journal of History of the Behavioral Sciences"や海外の心理学史書を読み、心理学史研究の理論的背景について検討を行い、簡単なエッセイを公刊した。 上記いずれの点についても平成12年度に仕上げの調査を行い論文としてまとめる予定である。
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