初年度は、阪神・淡路大震災(1995年)を契機として着目されることとなった災害ボランティアの5年間にわたる活動をグループダイナミックスの立場から整序するため、材料の収集と分類・整理を行うとともに、中間報告として、論文等をまとめた。 1.災害ボランティア組織の変遷:日本災害救助ボランティアネットワーク(NVNAD、本部:兵庫県西宮市)に対して行ってきた参与観察で得た資料を整理し、エスノグラフィーを公刊した。災害ボランティアが、安定した規範が崩壊した後で、様々な問いを立てながら、臨機応変に諸システムとの距離を調整している様子が明らかになった。 2.災害ボランティア組織のネットワーク形成過程:災害ボランティア組織のネットワークに対する聞き取り調査を行った。「東京災害ボランティアネットワーク」(東京都)や「ハートネットふくしま」(福島県)などを訪れ、設立経緯、活動の現状および展望を調査した。さらに、アメリカのネットワーク組織を訪れ、同様の調査を行った。成果は来年度に公刊する予定である。 3.地域復興における災害ボランティアから地域ボランティアへの変遷:西宮市安井地域のまちづくり活動におけるボランティアについて参与観察を継続し、災害時と平常時のまちづくりボランティアとの関係をまとめて公刊した。 4.災害ボランティアに関する理論構築:災害救援現場におけるボランティア活動をグループダイナミックスおよびシステム論を用いて理論化を進めた。中間的な成果を公刊した。
|