研究概要 |
本研究は、高齢者の物理・距離的な空間、社会的空間、時間的空間を測定し、3つの空間の大きさを比較しようとするものである。最終的にはこれらの空間の広がりと老年期の適応的な生活との関係を検討することが目的であるが、今年度は空間(とくに、社会的空間)の広がりを測定する方法の開発を中心課題とした。同時に、調査対象者を選択するための予備的な調査の準備を行った。 空間の広がりの測定方法については、これまで研究代表者が検討してきた方法を中心に、文献研究と予備テストを行った。その結果、物理的な空間の広がりについては、特定の長さを縦・横・高さの3方向に作成するという方法を使用することにした。社会的空間と時間的空間については投影法的技法を用いることとした。社会的空間の測定には、メンタルディスタンスを用いた方法(直径20cmの円内に「重要な人」を書き入れてもらう方法)を採用する。この方法は新しい試みであるため、社会的活動・ソーシャルサポート・ソーシャルネットワークを同時に測定する必要があろう。時間的な空間については、サークル・テスト(Cottle,1967)ではなくライン・テスト(Cottle & Pleck,1969)を用いることにした。 この作業と平行して、調査対象者を選択するための予備的な調査を準備している。愛知県下の1市在住の65〜75歳の高齢者を対象とし、社会的活動の実態を調査する。この中から社会的活動をしている人としていない人を調査対象者として選択し、次年度に今回決定した測定方法を用いた調査を行う予定である。
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