本研究は、表情の識別や記憶、感情の認識などの心理学実験に用いるため、日本人大学生男女のさまざまな感情表情の公開用刺激セットを作成することを目的として行なわれた。平成12年度は研究用に顔写真を公開することに文書で同意した被写体の撮影が行われた。平成13年度は、撮影済みポジフィルム200本の中から、各被写体の各感情について、それぞれの感情が最もよく表出されているカットと、それに準じるカットが1枚ずつ選出された。選出基準の表情は、被写体本人の経験を想起させて損影され「抑うつ・不安、敵意、倦怠、活動的快、非活動的快、親和、集中、驚愕」の8種類と、例を示し鏡で練習させてから撮影された「驚き、恐怖、嫌悪、怒り、幸福、悲しみ」の6種類であった。選出は3名の協力者(実験心理学系大学院生)の評定によって行われ、各表情について10枚ないし20枚撮影された中から、当該の感情が最もよく表出されていると判断されたものが選出された。3名の評定の一致が原則で、評定が別れたものについては合議によって決定することとされた。被写体ごとに選出された表情写真は、フィルムスキャナを使用して光学解像度4000dpiでデジタル化された。すべてのカットの背景は等しいので、背景部分を明るさの基準として露出が調整され、また、有効画面上の顔面の位置がすべてのカットで同様になるように不要部分を削除して画像サイズが統一された(スキャン時の埃跡などもこの段階で修正された)。元データ及び上記の加工が施されたデータは、被写体ごとにMOおよびCD-Rに保存された。 今後は、印刷用、画面表示用、検索用にデータの解像度・画像サイズなどを最適化し、標準化データを付して、公開に供する予定である。
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