1.住民参加型地域環境保全の全国的な事例を、文献調査および専門家へのインタビュー調査によって収集した。特に、地域公園の建設・整備を主要な対象として日本各地において展開しつつあるデザイン・ゲームなどの「ワークショップ方式」による住民参加の導入と定着の過程を把握した。 2.都市地域での住民参加の事例に関しては、「パークマスター」(公園管理の専門職)を設置した古河総合公園における住民参加への取り組みと、それに果たす専門職としてのパークマスターの役割に関して事例研究をおこなった。住民参加・市民参加を根づかせるためには、ファシリテーターの役割が重要であることが指摘されている。古河総合公園においては、その役割を「パークマスター」が担うことが期待されているが、現状では、多くの問題を抱えていることが明らかとなった。 3.農村地域では、「グラウンドワーク方式」の取り組みが進んでいる滋賀県甲良町において、集落レベルでの伝統的な地域組織と町レベルでの住民参加の関わり、リーダーシップのあり方などについて調査を進めた。 4.混住化地域の事例として、滋賀県守山市での水環境保全への環境NPO「赤野井湾流域協議会」の取り組みを調査し、都市的特性と農村的特性の混在が、住民参加の活動方針に与えている影響を明らかにした。 5.次年度は上記の各調査研究を継続し、都市地域、農村地域、混住化地域における住民参加の比較検討を行い、住民、専門家、行政のパートナーシップのあり方に関して総合的な考察をおこなう。
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