横浜市鶴見区、滋賀県守山市、滋賀県甲良町において現地調査を行い、「ワークショップ型」「組織新設型」「むらづくり型」という3つの手法の住民参加の事例研究を通して、住民参加の制度化に伴う組織論的問題点に関する理論的考察を進めた。横浜市鶴見区の神奈川県立三ツ池公園の「ワークショップ型」の住民参加では、ハード的な公園整備だけでなくソフト的な運営管理への住民の参加に取り組んでおり、ワークショップでの参与観察とインタビュー調査により、住民・行政・ファシリテーターの三者の関係性を明らかにした。滋賀県守山市では、豊穣の郷赤野井湾流域協議会に関する調査を進行し、環境社会学会(2000年6月11日、中央大学)において「生活経験と環境ボランティア参加-滋賀県守山市における住民参加型の水環境保全を事例として(1)」および「混住化地域における環境ボランティア活動の課題-滋賀県守山市における住民参加型の水環境保全を事例として(2)」を報告し(いずれも霜浦森平、塚本利幸、山添史郎と共同)、アンケート調査の分析により住民の地域環境ボランティアへの参加の規定要因を示し、「組織新設型」住民参加の抱える課題を明らかにした。滋賀県甲良町では、土地利用検討委員会専門委員として専門家として関与することを通じて参与観察を継続し、従来一定の成果をおさめてきた集落単位での「むらづくり型」住民参加の限界を示し、集落を超えた単位での住民参加の模索の過程を調査した。理論的考察としては、地域社会学会(2000年5月13日、関東学院大学)において「地域社会システムとしての住民参加-「都市型/農村型」環境保全活動の比較の試み」を報告し、住民、行政、専門家の各主体間の相互作用の場である地域社会の「情報-資源処理システム」の再構築過程として住民参加の制度化をとらえる視点を提起した。
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