研究概要 |
今年度の課題であった(1)先行研究のレビューおよび(2)調査データの計量分析の各々について、計画どおり研究を進めることができた。具体的には次の通りである。 (1)に関しては、(2)の計量分析に先立ち、階層研究やジェンダー研究、ライフスタイル研究などの諸領域について先行研究の収集をし、有効な分析アプローチの検討、分析課題の精緻化などをおこなった。 (2)に関しては、1998年9月に町田市で実施した社会調査データ(町田市在住の単身世帯をのぞく満25歳〜64歳の男女1,000名を対象に面接調査法で実施。有効回収率は53.4%)を用いて、主に「家族に関する価値観」と「家族と一緒に過ごすライフスタイル」に着目し、これらが所属階層によってどのように規定されているのか、について確証因子分析や共分散構造分析によって分析をおこなった。分析の結果、(1)若年層ほど、高学歴層ほど性別役割分業を否定し、夫婦別姓や個人主義的生き方という新しいタイプの家族像を支持している、(2)伝統的な家族観を持つ女性は家族と一緒に過ごすというライフスタイルを送っているが、価値観が流動化している女性は家族と離れたライフスタイルを送るようになっている、(3)価値観を媒介として、高学歴層で家族と離れたライフスタイルを選択する女性が出現していることが明らかになった。 以上の成果を、行動計量学会第27回大会特別セッシヨン「価値観の変動と多様性」における口頭発表(報告題目「現代家族の家族観とライフスタイル―男女比較を中心として」)、『和光大学人間関係学部紀要』第4号に論文「変わる家族観、変わらない家族の実態」および「コメントへのリプライ」として公表した。
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