研究概要 |
本研究は,1)体験型福祉教育の教育効果・体験型ボランティア学習の学習効果を評価する概念枠組みを開発すること,2)その枠組みに包含される概念の測定尺度を開発することを目的とし,検討を進めた。この研究目的のもと,本年は,研究目的を実証的に検討するためのデータの収集の枠組みの設計とデータ収集の実施を主に行った。 具体的な分析データの収集は,以下の方法で行なった。まず,本研究は,「実験群」,「対照群1」,「対照群2」の3群調査の枠組みで,調査を設計した。実験群は,社会的要援護者との交流体験を題材にした一泊以上の宿泊を伴う短期間型の福祉教育・ボランティア学習活動への参加者とした。対照群1は,実験群の対象に該当しない福祉教育・ボランティア学習活動への参加者とした。対照群2は福祉教育・ボランティア学習に参加していない一般高校生とした。 次に,教育・学習効果を評価する視点・概念の設定と,その具体的な測定項目案(アイテムプール)の作成を行なった。効果を評価する視点・概念は,サービスラーンニング理論による実践の枠組みをもとに設定した。具体的な測定項目案の作成は,フォーカスグループ調査を実施し,それにより得られたデータをもとに行なった。 さらに,上記の手順で設定した効果評価の枠組みとその測定項目案を,数理統計学的手法により,実証的に分析するためのデータを収集した。調査は,前述の3群を対象として,合計550名の男女に対し,1999年8月〜10月の期間に実施した。調査方法には,質問紙法自記式による集合配付・留置・集合配付の方法を用いた。 調査の結果,実験群で116票,対照群1で88票,対照群2で101票が回収された。現在,このデータをもとに分析を行なうための準備をしている最中である。
|