研究概要 |
平成11年度は、本研究の初年度(前半年度)なので、本題である集団による「ものづくり」課題における子どもたちのソーシャル・スキル(社会的技能、社会的スキルと同義と考える)の技能教授法を開発していく前段として、まず、ものづくりや集団作業(協同作業)および技術教育への子どもたちの興味関心の意識調査を全国的に実施してみた。小学校3年生〜高等学校3年生の児童・生徒4,260名が対象とされた。その結果、児童・生徒のものづくりに対する意識はきわめて旺盛であること、ものづくり教育や中学校技術科教育への期待が高いこと、なかでも、ものづくりを多く経験した児童・生徒ほど、ものづくりへの意欲労働する人々への関心・共感、さらに中学校技術科教育への関心は高いことがわかった。また、高校に中学校の技術科教育のようなものづくりの教科があれば受けてみたいとする回答は平均値で中央値以上であったことから、高校段階での普通教育としての技術教育への関心が高い結果となった。さらに、中学生・高校生は「問題解決能力」「協同作業」「中学校技術科教育の発展的有用性」に対しては肯定的意識はあるが、さほど高くはない点も指摘された。 しかし、実際に集団作業課題を与え、ビデオ撮影をすることを通して分析し始めた。活動する際のソーシャル・スキルの現れでは、協力し合う子ども同士のソーシャル・スキルのみならず、子ども-教師間でのそれ、さらには教師のソーシャル・スキル教授の力量にも影響して来るであろうことが、いくつかのものづくり授業実践のデモンストレーション、シミュレーションから予想されている。子どもの年齢による差異、教師の力量による差異、与える課題による差異などの分析は、次年度の興味深い課題となろう。
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