研究概要 |
平成11年度の研究については、「養護教諭の勤務構造とメンタル・ヘルスに関する調査」(全国公立学校養護教諭3,300名対象;平成10年2月実施)のデータをもとに、主として、保健主事制度やスクールカウンセラーの導入、教科保健担当、保健室登校などの養護教諭に対する新たな役割をめぐっての養護教諭の役割葛藤およびそのコンテクストを構成する学校組織の問題(組織特性、学校組織文化、支持的学校風土、勤務条件など)について分析および考察を行っている。 1 研究発表としては、保健主事制度について変遷と改正の経緯について養護教諭の職務との関連から考察した。また、保健主事の養護教諭兼務制度導入の実施状況を明らかにし、そのメリット・ディメリットについて明らかにしている。また、その是非の問題をめぐって視えてくる学校組織特性、学校組織文化、学校経営の問題、管理職のリーダシップの問題、現保健主事との関係などの学校組織論的問題、および複数配置との関連、スクール・カウンセラーのインパクト等の制度的問題について明らかにしている。また、職務負担、モラール、ストレス、役割葛藤、曖昧性、多忙感との関連から分析し、近年の養護教諭をめぐる制度的改革の効果と問題点およびその幻想について論究した。 2 保健室空間の創造と養護教諭の抱く保健室経営理念についての記述データの分析を行うために、養護教諭へのインタビュー調査や保健室訪問を積極的に実施した。 3 教育センター等での各種養護教諭研修会に参加し、そこでの研修カリキュラムや研修内容等についてVTRを撮ったりしながらデータ化した。 4 教育経営学領域に関する用語辞典において、保健室登校やスクールカウンセラー、養護教諭の職務、心の居場所などの養護教諭に関連する内容を執筆し、概念等を整理した。
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