本研究は、高齢者や障害者の読書の阻害要因を有効視野の観点から明らかにし、教育・福祉・医療的なケア場面で、簡便に利用できる信頼性の高い有効視野評価システムを構築することを目的にしている。また、読書環境の変化に対して有効視野がどのように変化するかを明らかにすることにより、高齢者や障害者の読書の阻害要因の特定を行うための評価システムを構築することにある。本年度は、汎用のパソコンを用いて有効視野評価システムの予備試作を行った。主な成果を以下に示す。 (1)視覚障害の教育・リハの領域では未だMS-DOSユーザが多いことを考慮し、DOS版を最初に作成し、その後、ウインドウズ版の予備試作を開始した。 (2)予備試作ソフトを用いて、フィールド実験を障害児・者に実施し、その有効性を確認した。その結果、眼科で通常に実施されている視野検査が適応できなかった幼児や知的障害を伴う障害児・者のケースにおいても、視野の評価が可能であることがわかった。 (3)視覚障害リハビリテーションの専門家や特殊教育の専任教員を対象に有効視野評価の重要性を普及するための講習会・研修会を各地で実施した。また、予備試作ソフトを配布し、それぞれのフィールドでの長期試用実験を開始した。なお、講習会においては、視機能低下をシミュレートすることにより読書における視野評価の重要性を実験的に検証した。この試用実験の結果を踏まえ、来年度、第2次試作を行う予定である。
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