David Murrayの活動と彼の教育論の分析について、以下のとおり研究をすすめた。 (1)米国所在の主要な「Murray文書」関係資料のカード化・整理は終了し、その目録化のための入力はほぼ終了している。平成12年度に成果報告書としてこの資料目録も印刷・製本する予定である。 (2)Murrayの教育に関する著述、論文、演説原稿の分析、翻訳、読解はほぼ終了した。また、当時日本語に訳され実際の教育政策に重大な影響を与えた資料との(原文資料との)対訳関係や、その前後の状況を考察し、彼の教育策について教育史上における位置づけを試みることを中心に考察をすすめてきた。平成12年度にはこの事実について口頭報告をすることを予定している。米国の国務省文書、下院議事録、及び未刊文書資料"Manuscript papers of David Murray primarily on education in Japan"については膨大な数であり、まだ十分に(完全には)目を通せていない。ただし複写して入手済みである。当時の国際状況における日本という視点から、この近代教育制度・政策に果たしたMurrayの役割(の本質)について明らかにするよう考察をすすめるのが今後の課題として残った。 (3)Murrayと日本の近代教育との関係を多角的・総合的に考察していくために、その当時の国際関係と近代化過程について分析の視点を整理しておく必要があると考えた。その仮説提示として本年度の学内紀要に論稿を執筆した。 以上が本年度の研究成果である。
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