本研究の目的は、新制大学発足時から現在に至る戦後日本の高等教育における専門職(医療職など)の養成政策・計画の政治jプロセスを、文部省・関係省庁・大学・専門職団体などの様々な政治アクターの専門職―専門教育をめぐるイッシューの分析を通して明らかにすることにある。平成11年度の研究実績としては、(1)基本的な文献・資料の収集と統計的作業(2)資料の購読・統計結果の分析と文献購読、を中心に進めた。まず、基本的な資料の収集と統計的作業に関しては、内外の政策プロセス論関係や高等教育・専門職に関する文献・論文、個々の大学史・学校史の他に、戦後直後のGHQ/SCAP関係のマイクロフィルム、一般新聞、教育関係の専門新聞、各省庁の出版物、専門職団体の刊行物、専門業界の雑誌、大学関係の定期刊行物、など様々な関係文献・資料を収集・コピーし、それらの購読を進めた。これと並行して、『全国大学一覧』『全国短大・高専一覧』『学校基本調査』など各種の資料から、政策の改正・変更の重要なパラメータとなる短大・大学・大学院の学部・学科の新増設や統廃合、またそれに伴う定員・実員の増減などのデータをインプットしてデータベースを構築し、戦後のマクロな趨勢を分析した。以上の作業の結果として、まず、医療職の中でもこれまでに最もクリティカルな論議が続いてきた看護婦(士)を取り上げ、その戦後日本のおける養成政策と複雑な教育制度について分析し、また教員養成に教育学部とともに当たりつつも、理念的にきわめて曖昧だった文理学部に関する政策とその存廃議論に関する考察を、それぞれ発表した。
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