本年度の研究は、昨年度の補充調査として、現地調査と文献収集を兼ねた調査旅行を2回実施し、昨年度の成果と合わせて、学会、研究紀要等に研究成果を積極的に公表していくことに力を入れた。 (1)調査:第1回目は、平成12年8月4日から8月19日まで、香港、広東省恵州市、梅州市、南海県、順徳市、清遠県の道観と廟を訪れ、関係者へのインタヴュー及び資料収集を行った。昨年度の補充調査が中心であるが、今回は梅州の呂祖廟や香港、清遠県の先天道の道堂などの調査を通して、この地域の宗教結社が清末から民国期にかけて、東南アジア華僑と緊密なネットワークを持っていたことが明らかにすることができた。また香港、広州では、香港大学図書館や中山文献館で民国期の宗教結社関係の資料をかなりの数収集できた。第2回目は平成13年3月9日から3月17日まで、香港で初めて行われる第1届道教節に参加するとともに、香港大学、広州等で文献収集を行った。 (2)昨年度収集した資料と合わせて、現在文献の目録作成、ビデオ編集と写真の整理を行っており、現在開設準備中のインターネットのホームページに随時公表していく予定である。 (3)研究成果の公表:(1)平成12年4月と10月、道教文化研究会で「広東道教の歴史と現状」というタイトルで、本研究の調査成果を紹介する報告を行った。(2)8月27日から9月3日までカナダのモントリオールで開かれた第36回国際アジア・北アフリカ研究会議(ICANAS)に出席し、「「香港道教」のアイデンティティとその変容-1997年を越えて」というタイトルで、本研究に関わる報告を行った。(3)平成12年10月13日、慶応義塾大学の地域研究センターで「広東省における道教復興の諸相」というタイトルで報告し、同内容を平成13年度2月発行の『アジア遊学』24号に掲載した。(4)平成12年11月に行われた日本道教学会の大会で先天道に関する報告を行った。
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