平成11年度の作業内容は以下のようなものである。 (1)文献資料の収集:エチオピアの教育学関連の文献、および異文化間教育学、教育人類学関連の文献を収集した。エチオピアの教育に関連する文献はそれほど多くはないが、多くが絶版であり未だ網羅するには至っていない。国内出張により、金沢大学の柘植洋一教授の研究室を訪ね、研究についてのレヴューを受けた。また柘植教授所蔵の文献資料の閲覧をさせていただいた。文献資料収集は次年度も引き続き行う。 (2)統計資料の分析:1960年代から今日までのエチオピアの統計資料の一部を入手できたので、これに基づいて、教育実績の統計的な分析を行った。エチオピア全体では就学率は向上しているが、1991年の政権交代後は南部の周辺地域において就学率の低下が懸念される。また識字キャンペーンが終了したことで、全国的な識字率の低下が見込まれる。 (3)調査資料の整理:別の科研費(国際学術研究「民族と国家/地方と中央における動態的関係:北東アフリカ諸社会の再編成の比較研究」(代表:福井勝義京都大学教授))による現地調査の際に収集した資料の整理分類を行った。とくにエチオピア南部の現地民の学生に対するインタビュー資料を重視し、この資料から問題の再構成を行っている。インタビュー資料に基づいた研究の中間発表を平成12年4月に日本ナイル・エチオピア学会で、5月に日本アフリカ学会で、また11月には国際エチオピア学会でそれぞれ行う予定である。
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