研究概要 |
1,<第一期>作業である平安時代の22仮名散文作品より抽出した形容動詞を保存・管理し、編集や集計などのさまざまなデータ分析を行うための機能をもつ「日本語形容動詞対照語彙データベース」の作成を終え、データ処理時の問題点を明らかにすると共に、本データベースの構造を公表した。(「情報処理学会 人文科学とコンピュータ」〔2000.1.21、於:長崎総合科学大学〕にて研究報告) 2,上記形容動詞24645語(延べ語数)のデータ入力を完了し、平安時代仮名文学作品における形容動詞の全体像が把握できる語彙資料を完成した。続いて、<第二期>の鎌倉時代文学作品(保元物語・平治物語・平家物語)より形容動詞を抜き出して入力作業を続行しデータ量を順次増やしている段階にある。 3,「日本語形容動詞対照語彙データベース」を資料として、平安時代の22作品について計量的分析を行い、それに基づいた語彙論的考察より次のような点を新たに明らかにすると共に、多角的分析機能をもつ「日本語形容動詞対照語彙データベース」の資料的有効性を示した。 (1)形容動詞語幹の語構成を分析し、語幹部に接尾辞をもたない形容動詞ともつ形容動詞の、作品に出現する比率(異なり語数・延べ語数)には差違が認められる。 (2)語幹部に接尾辞をもつ形容動詞の中で、その接尾辞が上代から存在するものと中古に成立したものとに分類した結果、新旧それぞれの接尾辞から構成された形容動詞の語藁量(比率)と作品の成立年代とは密接な関わりがあるという結論が導き出された。(「第63回国語語彙史研究会」〔1999.12.4、於:大阪成蹊女子短期大学〕にて口頭発表)
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