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2000 年度 実績報告書

最近の音韻理論、最善性理論の動向と従来の理論との比較検討

研究課題

研究課題/領域番号 11710265
研究機関東京都立大学

研究代表者

本間 猛  東京都立大学, 人文学部, 助教授 (30241045)

キーワード言語理論 / 音韻理論 / 生成文法 / 最適性理論 / 最善性理論 / 制約 / 共感理論 / 対応理論
研究概要

本研究課題は、最近の言語理論である最善性理論(Optimality Theory)の展開を調査し、その知見を日本語音韻論の理論的研究に応用することが目的であった。この目的を達成するために、最善性理論の枠組みに基づく研究において提案されている「制約」を詳しく検討し、その結果に基づき、制約を分類整理し、その目録を作ることを具体的な目的に据えた。
最善性理論とは、1992年前後からアメリカの音韻理論の研究者が中心となって開発をすすめてきた言語理論で、その理論では、「制約」(constraints)が、重要な役割を果たしている。言語は、互いに相矛盾する可能性のある複数の制約の相互作用の結果、生み出されるものであるとされる。ある制約の要求を満たすためには、別の制約を破る必要があるかもしれないということである。また、制約は、普遍的であると考えられ、どの言語の文法にも含まれており、ある特定の言語の文法は、ある特定のしかたで順位付けられた制約の階層であるとされる。
平成11年度におこなわれた研究を引き継いで、平成12年度(今年度)は、さらに、制約の分類整理のための基準を検討した。その結果、制約は、有標性制約群(Markedness constraints)、忠実性制約群(Faithfulness constraintsまたは、Identity Constraints)、整列制約群(Alignment constraints)に大別されるとする見方が有力であることが分かった。さらに、それぞれの制約の群は、下位区分を持っている。有標性制約群は、分節有標性制約群(Segmental markedness constraints)や音素配列有標性制約群(Phonotactic markedness constraints)などに分類される。忠実性制約群は、どの要素が他のどの要素に忠実であるかにしたがって、下位区分される。要素間の関係については、対応理論(Correspondence Theory)と呼ばれる下位理論が開発されている。最近の成果については、The Prosodic-Morphology Interface(Kager,van der HulstおよびZonneveld編集,Cambridge University Press)に収録されているMcCarthy and Prince(1999)"Faithfulness and Identity in Prosodic Morphology"が参考になる。
本研究課題の成果として、忠実性制約群の下位区分の一つである共感制約(Sympathy Constraint)を用いる共感理論(Sympathy Theory)に関する二つの論文を仕上げ、出版の予定である。共感理論とは、実際の出力の形式と潜在的に出力になりえる形式との間の忠実性を問題にする理論である。詳しくは、McCarthy(1999)"Sympathy and Phonological Opacity"(http://www-unix.oit.umass.edu/^-jjmccart/にて入手可能、Phonology Cambridge University.Pressにて、出版予定)を参照のこと。また、英語の音素配列に関する論考をまとめ、著書の一部として、出版の予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Honma,Takeru: "How should we represent/g/in toge in Japanese underlyingly?"Issues in Japanese phonology and morphology. (未定). (2001)

  • [文献書誌] Honma,Takeru: "Sympathetic Analysis of German R-Vocalization"中右実先生還暦記念論文集. (未定). (2001)

  • [文献書誌] 窪薗晴夫,本間猛: "音節とモーラ"研究社. 300 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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