研究概要 |
話し言葉や書き言葉の処理において、音節がその基本単位であることが示されてきているが(Mehler et al.,1981;Segui,1984)、語がどのように音節に分けられるかについては議論のあるところである。英語の音節を中心にいくつかの理論が存在するが(maximum onset principleやsonority principle等)、その心理的実在性は明らかではない。 本研究では、CVCVCの構造をもった英語単語96個(lemon等)と無意味語72個(d〓lip等)を使って、英語話者24名と日本語話者30名を対象に、oral taskとwritten taskを課し、以下の結果を得た。1)日本語話者は英語話者に比べてCV/CVCと分節する傾向が非常に強い。2)英語話者は、強勢の位置、強勢母音の長さ、母音間子音の種類の効果が有意に見られた。3)強勢の位置と母音間子音の種類の効果は日本語話者に対しても見られた。3)日本語話者の場合、要因の影響はoral taskでは弱まる傾向がある。4)英語話者、日本語話者とも、要因の影響は無意味語では弱まる傾向がある。(語彙知識が大きく影響している可能性有り)5)英語話者の音節区分は、onset-rimeの結びつきより、むしろ2モーラ(重音節)での区切りと解釈できる場合が多く、英語話者、日本語話者とも、moraic theoryまたは、音節量の観点から説明できる可能性が有る。
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