研究概要 |
平成11年度においては、パートナーシップからの金銭・資産分配課税の基本的構造及び脱退/死亡パートナーに対する金銭・資産分配課税の課税上の取扱いを研究し、わが国における民法上の組合課税について示唆を得る計画であった。 計画に従って分配課税の基本的構造を様々な文献、特にハーバード大学W.D.Andrews教授のInside Basis Adjustments and Hot Asset Exchanges in Partnership Distributions,47 Tax L.Rev.3(1991)を検討したところ、金銭・資産分配時に損益認識がされるか否かについては、パートナーシップにおけるパートナー間の所得配賦についての取扱いがきわめて重要であることが判明した。すでに、私はパートナー間の所得配賦の課税上の取扱いについての研究を行い、その成果を公表していたが、わが国の民法上の組合課税における所得配賦の問題についての検討が不十分であるため、そのまま金銭・資産分配課税の研究を進めていくことが不適当となった。また、今年度に、若干の税法学者により民法上の組合における組合間の所得配賦について私見とはいささか異なる研究成果が発表された(例えば、増井良啓「組合損益の出資者への帰属」税務事例研究49号47頁(1999))。 このようなことを踏まえ、金銭・資産分配課税の前提となる(わが国の民法上の組合課税における)所得配賦の問題を改めて検討し直すことが適当であると判断し、現在、論文「民法上の組合の稼得した所得の課税に関する基礎的考察 〜課税時期、所得種類、帰属を中心に〜」を執筆している(なお、この論文は税法学543号(2000年5月)に投稿予定である)。
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