第一に、第二次世界大戦以降の合衆国国有地管理法制度に関する立法資料の収集に努めた。とくに戦後の合衆国国有地管理政策の大きな転換を示す、1976年連邦土地政策管理法(Federal Land Policy and Management Act)と国有林管理法(National Forest Management Act)の二つに着目し、これらに関する単行本・学術雑誌論文・政府機関報告書・連邦議会議事録・連邦議会委員会報告書などを収集した。この収集活動は、平成12年度も継続する予定である。 第二に、合衆国ワシントン大学において、合衆国の国有林管理に関する詳細な文献資料を収集した。また、合衆国ワシントン州・オレゴン州内の複数の国有林管理事務所(農務省森林局)を訪問し、森林管理官へのインタビューを行うとともに国有林管理の実際を視察した。さらに、現在合衆国で大きな社会問題になっているコロンビア川のサケ保護をめぐる問題(国有地管理における生態系保護の問題)に関しては、インディアン保護区でサケを捕獲する先住民、河川生物学者、およびダムを設置している合衆国陸軍工兵局の職員にインタビューを行うとともに、裁判資料を含む関係資料・文献の収集に努めた。 第三に、生態系保護に着目した国有地管理および住民参加の現状を知る目的で合衆国マサチューセッツ州・マサチューセッツ大学を訪問し、森林管理・野生生物管理・河川管理・住民参加などを専門とする複数の研究者にインタビューを試み、多大なご教示をいただいた。また、生態系管理を提唱する各種の住民団体を訪問し、合衆国国有地上の森林・河川・野生生物の管理に関し、同州内では実際どのように住民参加が行われているのかを調査した。
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