1 フランス法における契約内容規制:フランスの判例法として定着しつつある契約の本質的債務の理論(契約の本質を損なう条項の効力を否定する)の研究を、日本法の状況と比較しつつ、進めている。関連文献・判例を調査した上で、2000年2月4日に民事法研究会アモルフ(藤岡康宏早稲田大学法学部教授主宰)において報告を行った。現段階では、当事者意思による契約内容の自由な形成の限界を画するものとして契約外在的な公序だけでなく、当事者の意思では破壊できない契約の本質的部分、つまり契約法に内在的な契約自由の規制原理とでもいうべきものがある、という認識を得ている。契約の本質的債務という表題で2000年10月の日本私法学会において研究報告を行い(申請済み)、これと前後して早稲田法学誌上に研究成果を公表する予定である。 2 消費者契約:契約内容規制の実践的応用場面である消費者契約についても併行して研究を進めている。まず、アメリカの消費者契約法について概観を得る試みを行い、成果を公表した(ESP1999年11月号)。また、わが国の消費者契約法草案についても、1999年11月19日に民法研究会(鎌田薫早稲田大学法学部教授主宰)において紹介・検討の結果を報告した。 3 アメリカ法:上記の米国消費者契約法概観の他、2000年1月に新潟大学法学部三枝健治助教授(米国契約法研究者)と意見交換した。また、2000年6月30日には米国ボストン大学ロースクールのランディ・バーネット教授を早稲田大学に招いて契約法における意思の役割をメインテーマとするセミナーを主宰することとした。 4 研究費の使途:研究成果公表、研究会での報告書の準備、文献・判例調査等々、ほぼすべての研究場面で、科研費にて購入したデスクトップパソコンが大いに活用されている。
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