本研究は、1990年代の金泳三政権と金大中現政権の行政改革の内容、改革の過程を比較しながら明らかにすることを目的としている。平成11年度は行政改革の成果に関する調査を行なった。そのための作業として、まず第1に、1992年の金泳三の大統領当選から1998年の金大中政権発足までの行政改革の動きを整理するため、東亜日報、朝鮮日報、中央日報等、韓国の主要な新聞に出てくる記事を、朝鮮日報を中心に整理した。次に、金泳三政権の行政改革の成果の整理を行なった。金泳三政権では、行政刷新委員会、経済行政規制緩和委員会等の大統領直属の諮問機関で行政改革の案が練られ、それを大統領府を通じて実現していくという過程が取られた。そこで、これら諮問機関の構成メンバーや審議過程と各種の答申を調べて、諮問機関でどのような議論がなされたのかを整理した。分野としては、主として組織再編、規制の見直し、金融改革を中心にした。これと同様のことを、1998年の金大中政権への政権引受委員会についても調査した。ただし、引受・委員会での議論の実現状況は、平成11年度においても金大中政権が行政改革を進行中であったので、平成11年での実現状況のフォロウという形になった。 以上の調査をおこなうため、9月に出張し、資料の収集にあたった。なお、この成果の一部は平成11年度日本政治学会での報告「通貨危機までの韓国の金融行政」とその修正版(大阪市立大学法学論集に掲載予定)に取り入れた。
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