1.市町村が介護保険事業対応で広域連合制度を活用している中芸広域連合・佐賀中部広域連合・くすのき広域連合・東国東広域連合・空知中部広域連合・紀南介護保険広域連合、及び介護保険事業関連で先進的取り組みをしている秋田県鷹巣町・東京都中野区、さらに地方分権により高齢者保健福祉政策を実施しているスウェーデンとデンマークの自治体などに対してヒアリング調査と資料収集を行った。 2.それらをもとに介護保険制度導入前の各広域連合の現状について整理をしながら、主に中芸広域連合において次のように課題を分析し、その効果的な活用の5条件について考察をした。(1)5つの視点からの分析 (1)町村間では求心力より遠心力が強く、連合から町村に対する影響力が強い。(2)ハードとソフト面で保健・医療・福祉の連携が充分でない。(3)支援センターにより行政・NPOの連携は一定とられている。(4)県庁内の広域連合関係各課の連携が不充分で県からの権限移譲はない。(5)広域連合への住民参加は政策実施の段階で社協などを通してみられるが、政策立案と評価段階ではみられないし、情報公開が不充分。(2)福祉の地域づくりシステム構築の5条件 (1)介護予防・生活支援の視点を高齢者保健福祉計画に徹底的に位置づけ政策化しマンパワーとして保健婦、OT、PTなどを充実・強化。(2)町村の枠をこえた事務職員や専門職員の相互交流と学習機会の活発化。(3)行政責任の明確化と情報公開条例の制定、政策の各過程に住民参加の組み込み。(4)福祉の雇用効果に着目した県の大胆な支援策と予防・健康づくり政策の推進。(5)オンブズパーソンのような権利擁護のしくみと視点を強化。 3.今年度の考察をふまえて来年度は、同様の地域を再度調査し、介護保険実施後の現状と課題を分析しながら広域連合活用の可能性と限界、及び広域連合の効果的活用の条件についてさらに考察を深める。
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