1.平成11年度における中芸広域連合・佐賀中部広域連合・くすのき広域連合・東国東広域連合・空知中部広域連合・紀南介護保険広域連合、介護保険関連で先進的取り組みをしている秋田県鷹巣町・東京都中野区、積極的な高齢者保健福祉政策を実施しているスウェーデンとデンマークの自治体の調査・分析・考察をもとにして、平成12年度は主に北アルプス広域連合と中芸広域連合を対象にしてヒアリング調査と資料収集を行った。 2.それらをもとに、主に北アルプス広域連合を素材にして介護保険制度導入直後の広域連合の現状分析をしながらメリットと課題を整理しその効果について考察を行った。 (1)メリットとしては、(1)広域連合の職員が介護保険「専任」で集中して職務ができること、(2)構成市町村事務の軽減と効率化がはかれること、(3)要介護認定の客観性・公平性の確保、(4)保険財政基盤の安定、(5)介護保険サービス水準の平準化、(6)介護保険以外のサービス水準も平準化する可能性があること、などである。 (2)問題点としては、(1)広域連合は住民から「遠い」存在であること、(2)政策の決定に時間がかかること、(3)関係書類が増えること、(4)構成市町村のなかには広域連合への依存傾向が生じること、などがある。 (3)結論としては、中山間地域の市町村にとっては、地域の状況や条件に合わせて適切に機能する仕組みを具体的に工夫しながら広域連合制度を活用することが現実的には1つの有効な選択肢であり、市町村合併に対する1つのオルタナティブであるといえる。 (4)そこで広域連合制度活用の条件・ポイントとしては、(1)ネットワークを拡大・深化させ協力・調整・競争するシステムとして、広域連合構成市町村相互や圏域のサービス事業者などが交流し情報交換を行う公式の会議として多元的な複数の連絡協議会を設置すること、(2)住民に身近な存在として認識され信頼される広域連合にしていくために多様できめ細かい住民参加の仕組みづくりを形成すること、などが不可欠である。
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