研究概要 |
各個人(あるいは各国)が,自己の私益を優先する選択を行った結果,社会全体にとっての共益が損なわれてしまっているようなパラドキシカルな状況は「社会的ジレンマ」と呼ばれている.現代社会において早急に解決が求められているエネルギー危機の問題や環境汚染問題などは社会的ジレンマの典型的な例である.自分だけなら大丈夫,自分だけでは効果がないと考えるため,みんなが浪費的行動や環境破壊に繋がる行動をとってしまうのである. 従来の社会的ジレンマに関する研究は,なぜジレンマがおこるかについては綿密に分析されてきたが,現実の問題を解決する有効な社会制度・メカニズムを提示するには至っていないと思われる.これまで考案されてきたメカニズムには,「自発的参加」の問題が十分に考慮にいれていなかったり,メカニズム自身が複雑すぎるといった問題点があるためである.本研究では,これらの従来のモデルに関する問題点を克服するような,新たな理論モデルの構築に関する研究を行った.社会的ジレンマ問題の内,特に地球温暖化ガス問題と共有地の悲劇の問題への応用を念頭においた.効率的でかつ公平な社会的状態を達成するためには,どのような社会制度・メカニズムが望ましいかについて,ゲーム理論,社会的選択理論,メカニズム・デザイン論などを応用して分析した.また,理論どおりメカニズムが機能するのかどうか,しないならばなぜなのかについて検討を行うため,コンピューター・シミュレーションや経済実験に関する基礎研究も行った.
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