出産行動の分析を結婚のタイミングを考慮して行うためには、同一女性の複数年にわたる情報が不可欠である。また、公的年金制度が出産行動に与える影響を分析する上では、出生の意思決定を行った時点における、加入していた公的年金の種類についての情報も必要である。さらには、公的年金と代替し得る可能性があるものとして、民間(年金)保険や貯蓄等の情報も必要である。しかしながら、これらの情報が全て網羅されたデータベースはこれまでのところ存在しない。 したがって、本年度はまず、独自のアンケート調査を実施し、それに基づきデータベースの構築を行った。調査対象は20〜49歳の既婚女性である。調査内容は、調査対象者に過去を振り返ってもらい、婚約した時点、1人目から5人目の子供の妊娠が判明したそれぞれの時点の状況を尋ねた。具体的には、その時点において加入していた公的年金の種類、生命保険の加入の有無、生命保険以外の民間保険(個人年金保険など)の加入の有無、貯蓄残高、就業状態、勤務先の福利厚生の状況、所得等である。保険については、配偶者の加入の有無についても調査した。 現在、作成したデータベースを用いて分析を開始したところである。本格的な分析は、来年度に実施する予定である。
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