1980年代以降サハラ以南のアフリカ諸国は構造調整政策のもと、さまざまな制度改革に取り組んできた。地方分権化政策はその中でも主要な課題をなし、政治的には民主化を推進し、社会・経済的には開発をより効果的にするという意図があった。ウガンダは86年以降、国民抵抗運動(National Resistance Movement)政権のもとで地方分権化をすすめてきた。ウガンダの経験は現在功罪両面においてアフリカにおける1つのモデルケースとなっている。 地方評議会(Local Council)の制度は、西欧に起源を持つ民主主義の理念をアフリカの実体に生かそうとした画期的な取り組みとして評価できる。ウガンダ人の多くはこの制度とそれを導入した現政権に肯定的評価を下している。 他方この制度には今後克服すべき課題も多い。第1に分権化に関する情報が草の根レベルでは大変欠乏しており、そのことが中央集権的体制から地方分権的体制への政策変化の実施を困難にしている。第2に、ウガンダに限らずアフリカの多くの諸国は経済的困窮にあえいでいるが、地方自治体にとっては独自財源の確保なくして自治の実現は困難である。そのような財源の確保に向けて、自治体の取り組みはもとより、中央政府や国際援助機関の支援が望まれる。第3に、現在注目されている議論は、「分権化のパラドックス」である。すなわち、分権化の進展には中央政府の支援が不可欠であるという指摘である。ウガンダにおいては中央レベルで進行している官庁の再編成と公務員制度の改革が、地方分権化とより一体化する必要がある。その上で地方自治体の独自性を生かす形での監督・指導体制の強化が求められる。
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