1 日本のネットワーク産業は、地域独占的産業構造が特徴である。そこで、電気通信・電力に関して、パネルデータを用いて、地域間費用格差の計量分析を行い、併せてユニバーサル・サービスの政策的考察を行った。 2 電力産業は沖縄を除き9電力会社の実質的な地域独占が続いていたが、2000年3月より小売の部分自由化が進められている。1978年から1998年までの9電力会社のパネルデータをもとに、(1)トランスログ費用関数を推定し、(2)規模・範囲の経済性を検証し、(3)地域間費用補正係数を導出した。この研究は電力産業の自由化とユニバーサル・サービス政策に貢献するだろう。 3 電気通信産業は市場自由化に伴い、規制緩和・NTTの在り方の見直しがはかられている。1992年から1997年までの11地域事業部のパネルデータをもとに、(1)トランスログ費用関数を推定し、(2)規模・範囲の経済性を検証し、(3)ユニバーサル・サービス基金の推計を行った。この研究は電気通信産業の規制緩和と制度改革に貢献するだろう。 4 今後は、研究の対象をガス産業・交通産業にまで拡大し、ネットワーク産業全体の包括的研究を目指す所存である。
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