本研究の目的は、戦前期日本における営業税・営業収益税のデータを通じて、戦前期の各種在来産業の全国展開を、製造業のみならず商業・サービス業についても、解明することにある。資料として用いる大蔵省『主税局統計年報書』所収の営業税・営業収益税のデータは、税額のみならず、明治30年から昭和15年までの約40年間について、在来産業の各種業種(製造業はもちろん、物品販売業、金銭貸付業、労働請負業ほか24業種)別に、かつ47道府県別に、営業人員、営業戸数、売上金額、生産額、資本金、従業者数等のデータが採録できる。そのため、このデータを用いて、戦前期日本の在来産業の全国展開過程について全般的な検討を行うことが可能である。今年度は、全国各大学に分散所蔵されていた『主税局統計年報書』を探索し、これを大量に複写した。次に、この『主税局統計年報書』を用いて、物品販売業、保険業、運送業、印刷、周旋業、労働請負業、旅人宿業ほか、合計24業種に関して、上記の期間、47府県別に、営業人員、営業戸数、売上金額、資本金、従業者数、税額等のデータを、アルバイターも使ってコンピュータに入力を行った。膨大なデータであるので、この作業は今年度内には完結しておらず、来年度も継続して実施される。以上の作業をより効率よく遂行するために、新規にコンピュータとその周辺機器を購入した。
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